立山 一ノ越〜東一ノ越〜タンボ平BCの予定が・・・間違えた。
昨日は、一ノ越から御山谷を滑降した。
今日は再び一ノ越まで上がり、東一ノ越からタンボ平を滑降する、予定だったが
反省すべきことに、全く違うルートを滑ってしまった。
日 時 2019年4月23日(火)
山 域 立山
目 的 バックカントリースキー
コース
7:00みくりが池温泉ー8:50一ノ越ー11:30標高2,600m地点のコルータンボ平ー14:00黒部平駅
(YAMAP・国土地理院地図より)
標高差 914m
累積標高 (上り)1,028m・(下り)1,596m(スキー滑降含む)
人 数 3人
天 気 晴れ
みくりが池温泉から出発
昨日は御前谷を滑降した。
その後、再び室堂へ戻り(片道約4,000円。高額だ・・・)
みくりが池温泉に宿泊。
その日は、天気がよく、日没を見ることが出来た。
翌日6時の朝食を頂き、出発する。
今日は下山日でもあるので、荷物を全て背負う。朝から天気が良い。
一ノ越
まずは一ノ越を目指して登っていく。昨日よりも雪が固い。
念のため、トラバース箇所ではクトーを装着した。
時間がたつにつれ、雪も多少柔らかくなり、一ノ越までの直登部分ではクトーを外してガシガシ登ることができた。
滑降準備
今日の一ノ越は、快晴無風だった。
小屋の真ん前で準備をしようとすると、小屋番さんに物資ヘリが来るので裏に移動してほしいと言われた。大人しく返事して移動する。
「風が強いから帽子を飛ばされないようにね!」と続けて言われた。
よく見たら昨日、私の帽子を捕まえてくれた小屋番さんだった・・・。
小屋の裏で滑走準備を始めていると、物資ヘリが飛んで来た。ものすごい強風が吹き付ける。
帽子や、荷物などが飛ばされないようにしっかり押さえておく。
周りには油断して帽子を飛ばされてしまった人もいた。
東一ノ越へ
さて、いよいよ滑走開始だ。
今日のルートは、一ノ越からひたすらトラバースをして「東一ノ越」を目指す。
雪の状況次第では、夏道が出ており、板を外す箇所もあるかもしれない。
「東一ノ越」からは「タンボ平」に向かって滑降する。
ドロップポイントはそこそこ急斜面、との事だ。
それなりに人気のあるルートだ。なんてことはないだろう、と思ったのが油断だった。
結論から述べてしまうと、私たちはルートを完全に間違えてしまった。
今回滑ったルートは、東一ノ越よりも上部の、無名の地点だった。
あえて名付けるとするなら「標高2,600m地点のコル」だろうか。
しかもその事実に、滑り終わるまで、気づかなかったのだ。
ルートミス
何も知らないまま、私たちは一ノ越からトラバースを開始する。
長い長い斜滑降。スキーのシュプールがあったので、それに頼ることにした。
なるべく高度を落とさずに滑っていく。
もし歩くとしたら、かなりの急斜面だ。スキーがなければ進めない場所だろう。
ほどなくして、雪の溶けてる場所に合流した。ここも、かなりの急斜面である。
ここで板を外すのはけっこうシビアだ。私は怖くて動きが止まってしまう。
後から来た2人に先に行ってもらい、私も急傾斜のガレ場でハイマツに捕まりながら板を外す。どうにか無事に外すことが出来た。
しばらく歩くと、再び雪が繋がっていた。
際どい斜面で板を装着し、斜滑降を開始する。
ここまで来るとコルも近い。後はシートラーゲンで登る。
アイゼン、ピッケルを装備し、急斜面の雪面をキックステップを効かせながら確実に登っていく。
そして、ついにコルに飛び出した。
やっとここまで到着した・・・。ホット一安心。
タンボ平へドロップ
ドロップポイントは急傾斜で、近くまで行かないと、下の様子が分からない。
確かに情報通りだな・・・。と感じた。
小休止を挟み、いよいよ滑降開始。
斜面に入るとボロボロと雪が下に流れていく。
最初のターンを決めようと思ったら、失敗した。
転がる、視界がひっくり返ったり、白くなったり、訳が分からない。
そして気づいたら、少量の雪と共にザーと滑落していった。
幸いにも両足の板は外れなかった。うまく足を動かして揃えて、立ち上がる。
30m程滑ってしまった。
今立っているところは、上部に比べれば傾斜はゆるいほうだ。
しかし、デブリでボコボコしているので、思いきり滑るには躊躇する。
慎重にターンをしていく。
下まであっという間かと思ったら、けっこう距離がある。
だいぶ下まで滑り、隣の沢と合流する地点まで到着した。
ふと上を見上げ、そこで、真実に気づいてしまう。
お隣の沢のドロップポイントこそ、東一ノ越だったのだ。
私たちは、全く違う場所を滑っていたようだ。
正解の大斜面にはいくつものシュプールが描かれている。
私たちの滑ったラインはシュプールは皆無だった。
どうして、ここに来るまで、気づかなかったのだろう。
本当に、自分で自分が理解出来なかった。
その後、気を取り直し、再びタンボ平を滑降開始。
斜度はゆるいが、まだまだロングランだ。
そして、黒部平駅に無事に到着した。
今回のまとめ
今回は、反省すべき事に、ルートを間違えてしまった。
失敗の原因を探ってみる。
全員が初めてだった事、そして「思い込み」だろう。
「思い込み」も色々な種類がある。
1、東一ノ越の滑り始めは傾斜が急である事
2、アプローチはひたすらトラバースする事
3、途中まで伸びるシュプールを追ってしまった
4、山スキーなのだから、アプローチが少々シビアなのは当たり前
そして、「疲労」も原因の一つかもしれない。
疲れて来ると、目先の事しか考えられなくなってしまう。
私は、突破するのに必死で、GPSを確認する余裕がなかった。そもそも確認しようとすらしなかった。
これは自分の体力不足・技術不足が原因だと思う。
そして、人についていくばかりで、自分で判断しなかった事だ。
今回は、先輩2人と一緒に行った。2人は経験豊富で尊敬している先輩方だ。
そんな2人に囲まれているのだから、大丈夫という油断があったかもしれない。
しかし、いくら先輩だって時には間違えてしまう事だってある。
今回の私は、疲労もあり、自分で考える事を放棄してしまった。
そんな登山は、パーティー登山ではない、単独登山と同じくらい危険だ・・・。
帰ってから他の山スキー仲間に聞いてみたら、このルートには顕著な「踏み跡」つまり「夏道」があるという。ここまで苦労することはないそうだ。
後からログを確認してみると、正規ルートでも最初は御山谷を少しは滑り降りている。
事前にもっと熱心に確認しておくべきだった。
最近の私は大切な事を忘れてしまっていた。
以前の私の方がよっぽど上手くやっていたように思う。
「基本」を忘れていたのだ。ハッと気づかされる事ばかりだ。
今回、自分の山スキー経験値の浅さ、詰めの甘さを再認識させられた。
この失敗は今後に生かしていけたらと思う。