Wakaの週末ハイキング- 山の歩き方 -

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光岳周辺 釜ノ島山・カバ沢の頭北東尾根・ムギウネホツ・イザル尾根 周回

海の日連休は南アルプスの藪尾根へ!

本当はリンチョウ沢と呼ばれる沢を遡行する予定でしたが、天気予報をみて積乱雲が怖くて結局行きませんでした。その代わりがっつり尾根歩きの3日間でした。

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2018年7月14日(土)〜7月16日(月)

目的地:信濃俣河内〜樺沢の頭北東尾根〜椹沢山〜釜ノ島山〜ムギウネホツ〜光岳〜イザル尾根〜信濃俣河内

目的:光岳周辺のバリエーション尾根を歩く

天気:晴れ

人数:3人

 

※今回使用している地形図は全て「国土地理院地図」を利用してます。

 

今回行ったルートについて

今回のルートの解説。

 

☆リンチョウ沢

まず今回行けなかったリンチョウ沢、この近辺は「大井川源流部原生自然環境保全地域」とされています。人の手が加わっておらず、優れた自然環境を維持している場所をこのような呼称で呼んでいます。

寸又川の源流部であり、光岳にその源頭があります。

観光地で有名な「寸又峡・夢の吊り橋」を流れる川はここから始まっています。

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樺沢の頭北東尾根〜樺沢の頭〜椹沢山

光岳より南に続いている尾根上に「信濃俣」と「椹沢山」がありますが、そのさらに南下した「標高点2107m」が「樺沢(カバ沢)の頭」と呼ばれています。

信濃俣河内から樺沢の頭に続く尾根が、「樺沢の頭北東尾根」です。

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②椹沢山〜釜ノ島山〜釜ノ沢山北西斜面〜柴沢出合い

椹沢山より南西に伸びる尾根、寸又左岸林道へ降りる尾根の末端にある「三角点1963.5m」、そこが「釜ノ島山」です。この尾根自体、昔は登山道だったようでしたが、寸又左岸林道が崩落した今、ほとんど人は歩いていないのではないかと思います。

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③柴沢出合い〜ムギウネホツ〜百俣沢の頭〜光岳

寸又から光岳へ登る尾根。

※「ホツ」というのは枝尾根、側尾根のことで、川根の言葉らしいです。

柴沢吊り橋を起点として、光岳の南に伸びる尾根上の「百俣沢の頭」に続いている。

2016年の「山と高原地図」では破線ルートとして表記されています。

寸又左岸林道が崩落した今、アプローチは全てバリエーションルートしかありません。

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☆寸又左岸林道って?

先ほどより話題にあがる「寸又左岸林道」

寸又峡温泉から柴沢吊り橋(光岳登山口)まで続く、全長約40kmの林道です。

2011年の台風で甚大な被害を受け、数カ所で土砂崩落、通行不可能に。

 

釜ノ島山から南西へ寸又左岸林道へ下ると「釜ノ島小屋」がありますが、この建物も大きくて立派なものらしいです。今は廃墟ですが昔は活気があったのでしょうか。

途中には「無想吊橋」という長さ144m、高さ83mの巨大吊り橋がかかっています。今では崩壊が激しく、とてもじゃないけど渡れない状況らしいですが、過去には「日本一怖い吊り橋」とも紹介されたようです。

 

④光岳〜イザルヶ岳〜イザル尾根

イザルヶ岳から東南に伸び、信濃俣河内に降りている尾根です。イザルヶ岳山頂からはハイマツに隠れてこの尾根は見えません。おそらく静岡県側から光岳へアプローチするのに最短ではないかと思います。

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今回のルート全体図

今回のルートは「畑薙第一ダム」を起点として、以下のような周回コースです。

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前夜発にて出発

 金曜日の夜、仕事は定時ダッシュをかまし、山仲間と合流する。

本日は7月13日。出発前に一つ懸念事項が。約一週間程前の記録的豪雨。西日本ではかなり大きな災害になってしまった。

 

畑薙ではその時に累計降水量が348mmになっていた。その後一週間程は雨が降らず0mmではあったけど・・・。経験不足で、沢の水量や、ダムの水量が予測できない・・・。

一般向け 個別雨量観測所

国土交通省が設置した雨量計「畑薙」は、ピンポイントで畑薙湖にある半島?に設置されている。とても有効な情報源です。

 

夜中に畑薙第一ダムに到着。林道の前でシュラフカバーに潜り就寝。

 

1日目:畑薙第一ダム〜信濃俣河内〜樺沢の頭北東尾根〜釜の島山〜柴沢小屋

 4時から行動開始。車で林道へ入りちょうど広場になっているあたりまで進む。身支度を整えて出発する。

林道を外れてダムへ降りていくと、木々の間から、エメラルドグリーンの水面が覗いている・・・。ダムには水が溜まっている!!仕方ない、恐怖の吊り橋を渡る。

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対岸へ渡り、作業用の道をトラバース。崩落箇所多数あり、気が抜けない。

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ダムへの下降スポットへ到着も、残念ながら崩壊している。簡易ハーネスで懸垂下降。下降中、足をついた岩がボロボロと崩れていった。

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信濃俣河内を遡上して西河内出合いまで進む。

深いところで、太ももの付け根くらい。パンツが濡れるか濡れないかの際どいところ。

私的には水流強め。最初、渡渉のコツ掴んでなくて何度かコケた・・・。

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西河内出合いよりカバ沢の頭北東尾根へ取付く。

標高差500mくらいは急登。虫多め。白くてちっちゃい虫がかなり鬱陶しい。

虫除けスプレー吹きかけまくる。

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ガレを右手に見ながら。

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1686m標高点まで来たら傾斜は緩くなる。

ちょっとでも楽をしようと樺沢の頭は巻いて椹沢山へ。ここも急登で疲れる。

暑くて、水分補給を頻繁に行う。

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寸又林道へ降りる尾根より釜の島山へ。

山頂付近には寸又林道方向を示す看板もあったので、意外と人が歩いているのかな?と思った。

椹沢山直下はだいぶ急降下で痩せ尾根もいくつか。その上、倒木あり、草ボーボーといった具合で歩きづらい。踏み跡は途中で消失していたり急に現れたりしていた。

本当に過去は登山道だったのだとすると、この朽ち果てっぷりは尋常じゃない。

やっぱり、前言撤回。きっとここを歩く人は、最近はほぼ居ないかも。少し寂しいものも感じた。

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時折出現する踏み跡。歩きやすくて幸せ。倒木は多めだけど。

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しかし、密林がすぐに待ち受けている。

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看板を見つけた。文字は消えてしまっている。

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ギンリョウソウがあちこちに咲いている。

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釜の島山の三角点に到着。

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釜の島の北側斜面、標高差約850mを一気に降る。

上部は密林倒木プラス急降下だったが、次第に、木々の密度もまばらになり、広葉樹林帯に。落ち葉の急降下に変わっていく。

(後から発見したことだが、倒木が酷いのは、「針葉樹林帯」かもしれない。針葉樹林は根が浅いから、きっと風雨に弱くて倒れてしまうのかも。)

1466m標高点を超える頃にはだいぶ楽に下れるようになった。ただし、浮石が多く大きな岩を転がさないように気をつかう。

ほどなくしてザレた斜面に変わる。急降下であるので、慎重に降る。

柴沢林道まで後少しのところで、休憩中。10m程離れた場所に子熊が2匹。

1匹は2本足で立ち上がって、「何だろう?」といった様子でこちらを興味深そうに見ていた。母熊が近くにいるかもしれないので、そうそうにザックを背負って、こちらから立ち去った。

最後の50m程も、ザレた斜面を降り、いよいよ柴沢林道に降りる。

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林道を辿って行く。こんなものが。

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途中で、岩の隙間から水が湧き出しているところがあったので、1ℓ水を汲む。

とっても美味しくて生き返る。

柴沢橋を渡る。ここを渡れば寸又左岸林道だ。

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およそ36年前に作られたコンクリート橋。意外と新しいと思った。

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橋から眺める景色。上部、崩落している寸又左岸林道。正直びっくりした。

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先ほど見えた崩落地を通過する。

この崩落は過去のものらしく、デブリには草が生えていた。ひとまず安心。

とはいえ、崖の端っこをトラバースしなければいけないので慎重に。

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その後、柴沢小屋前にて就寝。

 

2日目:柴沢小屋〜ムギウネホツ〜光岳小屋

翌朝起床。昨日は疲れて食事中に寝落ち。そのまま2時間程、シュラフカバーにも潜らず寝てしまい深夜寒くて目が覚めたが、見上げた星空の美しさに感動した。

その後はしっかりとツェルトに包まり、朝まで快適に睡眠した。

こんなでも快適。黄色はやっぱりお花みたいで虫が寄ってきてしまう。

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林道の向こうへ散歩に行っていた山仲間が慌てて帰って来た。また熊を見たとの事。

5mほどの高さの崖の上から大人熊2匹にじーっと見つめられたらしい。後から私も見に行ったが、すでに立ち去った後だった。

敵意は全くなさそうで、「ポカーン」とした様子で見られたそう。

今回、念の為熊スプレーは携帯しているが、 スプレーは強力なので使うのは最終手段だけに留めておきたいと思った。熊は想像よりも穏やかなのかもしれない。

 

これが柴沢小屋。

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内部の様子。(昨夜撮ったもの)

カビ臭くてとても寝る気にならなかった。

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小屋前の芝生で寝た。虫は少ない。モスラは多いけど。

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リンチョウ沢は諦めて、山と高原地図でもルート記載のあるムギウネホツ尾根を登り光岳を目指すことに。立派な看板がある。

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しかし、取り付きの吊橋は、見た感じボロそう。

入り口を木が塞いでいるし・・・。

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お気持ち程度にセルフビレイを取りながら進む。

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落ちたら絶対助からないでしょ・・・。

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板が外れているところや、腐っている木に気をつけて進む。

割と丈夫な木も残っていたので、思っていたよりはあっさり渡ることができた。

 

吊橋を渡り、ところどころ崩れている急斜面をトラバースしながら登る。

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その後は、順調に高度を稼いでいく。

鹿道も多くあり、時々つられて歩いてしまうが、赤リボンもあり軌道修正しつつ登る。

看板があり安心する。
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ついに百俣沢の頭まで到着。ここまでくれば安心。

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白樺荘〜大根沢から縦走して来た単独の男性と出会った。

男性が言うには、ここに来るまでに3人とすれ違ったとのこと。

ここの山域も最近流行っているのかな。

 

根こそぎすっぽ抜けている針葉樹。

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日本最南端のハイマツ群生地。

ここはいつ来てもいいところ。そして、光岳はやっぱり地味だなぁと思ってしまう。笑

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オトギリソウが。

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順調に進み、ついに光岳小屋との分岐点に到着した。

せっかくなのでザックをデポして光岳の山頂へ。

 

ハクサンフウロはあちこち咲いている。

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私にとっては二度目の山頂です。

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その後、光岳小屋へ。3連休の2日目なので、テント場は混雑していそうだ。

光岳小屋は、管理人さんがテント幕営場所を案内してくれる。

「ツェルトなので、ロープを木に結びたい」と言ったところ、良い場所をあてがってもらった。テント場の少し奥まったところで、テントを張るには不向きだが、ツェルトには絶好の場所だ。静かで貸切状態。「原生林ぽくてこういうの好きでしょ。」ニヤッとして言ってきたので、ニヤッとしてお礼を伝えておいた。

 

光岳小屋の前のテーブルで夕飯&プチ宴会。その場で知り合った藪屋と会話が盛り上がる。光岳方面から大きなザックを背負って来る人は100%藪尾根を歩いている人だからチェックしていたらしい。

驚いたことに山仲間の近所に住んでいるそう。そして他にも静岡県民が異様に多くて会話が盛り上がった。先ほど百俣沢の頭で出会った男性も、地元民だった。

 

光岳小屋近辺はガスの通り道なのか、よくガスる。

夜も張ったツェルトが結露してしまい、とても寒かった。

3日目:光岳小屋〜イザルヶ岳〜イザル尾根〜信濃俣河内〜畑薙第一ダム

翌朝、信濃俣、その向こうに大根沢山、さらにその向こうに大無間山が見える。

光岳小屋の朝の景色は絶景だ。

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荷物をまとめ、まずはイザルヶ岳山頂へ向かう。

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數十分で山頂に到着。360℃のパノラマ。深南部方面。

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聖岳や上河内岳が見える。

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富士山が見事!!

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日の出と合わせて。

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しばらく景色を堪能して、いよいよイザル尾根への下降を始める。

山頂から見渡すとイザル尾根方面はハイマツの海で尾根が確認出来ない。

山頂直下が急勾配に見えたので、一般ルートを数十m戻ったところからハイマツ帯にアプローチする。

思っていたよりも幹が柔らかく、歩きやすい。

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ハイマツ帯を抜けると、草付きの斜面に。雰囲気の非常に良い場所だ。

「イザル尾根」も確認できた。朝露で滑りそうなので、注意して下降する。

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イザル尾根へ取付くと、立派な「獣道」があった。その「獣道」はかなり優秀で、数個あるピークを上手に巻いている。そのおかげで、順調に高度を下げることができた。

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イザル尾根下部では、数回、尾根を乗り換えなければいけないので、そういったところでは慎重にルーファイを行う。

 

記憶に残る崩落箇所は2箇所あった。

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尾根崩落の為に出来た超痩せ尾根。ちょっとビビりつつも無事に通過。

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標高点1239mに「山の神の祠」が。

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河原まであと少し。2回懸垂下降。

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ザレ場を下ると、小沢出会いに到着した。

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帰りは楽しく泳いだりしながら帰る。

あまり岩っぽいところではしゃぐと危ないので、そこは控えめに。

渡渉も、下流に向かって斜め横断すると楽だと学んだ。

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アシ沢出会い。初っ端からゴルジュ。

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ダム湖に到着。作業道を帰るのが嫌なので、ダムを泳ぐことにした。

たまたま単独の沢屋のお兄ちゃんがいて、ダムが泳げることを教えてくれた。

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右端を進む。

最初は「ダムを泳ぐ」なんて、イメージが沸かなくて、てっきり中心を泳ぐかと思っていたが、そうではなかった。これならなんとかなりそう。

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徐々に水深が増していく。なんだか生暖かくて気持ち悪い。あとここら辺だけやたらドブ臭かった。

みんなして「気持ち悪い」を連呼する。うえー><

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足がつかなくなる。岩や木に掴まりながら進む。時折、水中にも枝が潜んでいて、引っかかって脱出するのに少し奮闘した。

時には、ザレ場をトラバースしてダム泳ぎを回避。滑ったら、ダムに「ドボン」だ。

あちこちで山ビルが獲物を狙ってキョロキョロしていた。

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再び入水。

あぁ、私はなんでダムの水に浸かっているんだろう。

今頃、友達は何やっているんだろう、オシャレなお店で女子会とかやってんのかな?

なんか頭の中を色々と考えが巡ってきます。

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やっと終了点です。

ガレ場を慎重に登ります。

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ロープを辿って登り、無事、林道に戻りました。

いつもの白樺荘でお風呂と食事を済ませ、帰路につきました。

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まだまだ知らない場所が多すぎる。こんな場所があったのか!と新発見の連続。

改めて光岳周辺、南アルプス南部の広さを実感した3日間でした。