GW 北ア随一の展望地 蝶ヶ岳から穂高連峰を望む
GWの前半に、2泊3日で北アルプスの蝶ヶ岳に登ってきた。
積雪期に登るのは、今回で2度目だ。気持ちとしては気楽なものだが、今回油断ならなかったのは、初日が西高東低の冬型気圧配置だった事だ。春先なのに真冬のように寒かった。翌日も気温が低いままだったが、高曇りしているものの、晴れ。穂高の素晴らしい展望を望むことができた。
日 時 2019年4月27日(土)〜29日(月)
山 域 北アルプス 蝶ヶ岳(2,677m)
目 的 雪山登山(穂高連峰を眺めに行く)
コース(4月28日)
4:10徳沢ー9:00長塀山ー9:30妖精ノ池ー10:00蝶ヶ岳10:40ー11:10妖精ノ池ー11:40長塀山ー13:30徳沢ー14:40ー河童橋16:40
標高差 1,192m
累積標高 (上り)1,891m・(下り)1952m
人 数 7人
天 気 晴れ
上高地
4月27日(土)、早朝に地元を出発し11時に沢渡へ到着。
タクシーにて上高地入り。空はどんよりとした鉛色。雪が降っている。
開山祭
今日は丁度開山祭が行われていた。
升を一つ調達し、お神酒を頂き、みんなで回し飲みする。
真澄や大雪渓など色々な種類の日本酒を飲むことができた。
偶然このイベントに居合わせたが、お酒好きな他のメンバーたちはかなり満喫していた。
お酒を飲み飲み、本日の幕営予定地、徳沢へ向かう。
酒を飲みながら登山とは、何とも贅沢なものだろうか。
徳沢にて幕営
2時間程で、徳沢に到着。
タイミング良く雪の勢いが弱まってきたので、テントを設営する。
GW中、徳沢で「カレーメシ」のプレゼントキャンペーンをやっている。
徳沢宿泊者、先着500名にカレーメシを無料配布しているそうだ。
私たち7名分も、無事に確保することができた。
ふと気づくと、雪が強くなり、吹雪いている。
まるで厳冬期のような雰囲気だった。
夜は、みんなで八宝菜風鍋を頂き、就寝した。
長塀尾根
翌朝は3時起床、軽くパンを食べて4時過ぎに長塀尾根より蝶ヶ岳を目指す。
昨日の積雪はさほどなく、数センチ程度だった。
長塀尾根下部は、日当たりが悪く、そこかしこにアイスバーンが出来上がっている。
下りではアイゼンをつけた方が楽そうだ。
標高を稼いでいくと、アイスバーンはなくなり、雪道となった。
つい昨日積もったばかりの新雪パフパフのパウダーだ。
トレースは明瞭、快適に進んで行く。
長塀山付近でやっと、日の光を浴びることが出来た。
長塀山まで行けば、蝶ヶ岳まではあと少しだ。
ついに森林限界を抜ける。
穂高連峰の大展望が目に飛び込んでくる。
まだ山頂ではないが、つい足を止めて撮影タイムに入ってしまう。
しばらく皆で写真を取り合ってしまった・・・。
蝶ヶ岳山頂
蝶ヶ岳は基本的に強風地帯だ。そのため、雪は吹き飛ばされてあまりつかない。
今回も、稜線上はハイマツや夏道が露出していた。
しかし今日は、驚くほどに風が弱い。
私は2017年の元旦に蝶ヶ岳へ登ったが、その時は強風過ぎて完全防備・写真撮影も命がけ・早く下山したい一心だった。
こんなにも穏やかな日に登頂できたのはラッキーだ。
それにしても、やはり蝶ヶ岳は展望の山と呼ばれるだけある。
360度、素晴らしい絶景が広がっている。
ふと見上げると、立派なハロ現象が発生していた。
よく見るとそれだけでなく、太陽の下にも虹が出来ている。
「環水平アーク」かな?と、思ったがこの時点では自信無し。
そもそも環水平アークとは、かなり珍しい現象だ。こんなにもハッキリ出ていると逆に怪しい・・・。
もし本物であれば、ヤマテンの猪熊さんが黙っているはずが無いと思うので、上高地に下山したらfacebookを覗いて見ることにした。
下山
たっぷりと山頂を満喫し、名残惜しいが下山することとした。
快適に下山していく。午後になり気温が上がり、雪もザラメ化していた。
標高2,200m地点まで下げたところで、アイゼンを装着する。
いくら午後になり気温が上がったからといって、今朝のアイスバーンはまだ溶けていないだろう。
思った通り、相変わらずのカチカチ登山道が現れた。
構わずガリガリと踏みつけて快適に下山する。
ほぼ夏道になったところでアイゼンを片付け、再び加速。
その後もチラチラアイスバーンがあったので慎重に降る。
そして無事に徳沢園のテント場に到着した。
しかし、今日の目的地はここではなく、上高地だ。
テントを撤収して、重い荷物を担ぎ、上高地へ向かう。
・・・毎度思うが、上高地の林道歩きは本当に精神的にも肉体的にもきつい。
平坦で退屈な道だからこそ、肩にのしかかるザックの重さをより強く感じる。肩が凝る。足が疲れる・・・。
しかも各ポイント間のコースタイムがきっちり1時間というのも憎らしい。
それに、平坦で歩きやすい道だからこそ、コースタイムを縮めるのが難しい。自分なりに全力で早歩きをしても、さほど時間短縮にならないのが悲しすぎる。
コースタイム基準の「健康な中高年」のおばちゃん達が、この林道は軽快にサクサク歩いていた、という事だろう。
そんな不満をぐちぐち考えながらも、頑張って足を動かす。
そしていよいよ、本当のゴール、上高地山岳研究所に到着した。
上高地山岳研究所
ここ山研は、私の所属する山岳会の所有している施設だ。
会員及び関係者は宿泊する事ができる。暖かい布団と、お風呂がある。
基本的に備え付けの調理具を使用しての自炊である。
ご飯・味噌汁なら別料金でつけてもらう事も可能だ。
今日は寒いテントの中ではない。身も心も暖かい気持ちで食事を食べ、就寝した。
翌朝は6時に起床。ついに上高地とお別れした。
猪熊さんの観天望気講座
猪熊さんのfacebookを覗くと、案の定「大興奮」していたので、少しクスッとなってしまった。
早速、詳しい解説もアップしていた。とても参考になるのでぜひ見てみて欲しい。
終わりに
4月27日(土)の夜は、まるで厳冬期のようだった。
ちょうどこの日、北アルプスでも4件の遭難が発生してしまったと後から知った。
春先の天候変化は恐ろしい事を改めて感じた。
胸が締め付けられる思いだ。私自身も、気をつけなければいけない。
島崎三歩の「山岳通信」
第147号5月16日(PDF:521KB)
https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/sotaikyo/documents/n147_20190516.pdf