Wakaの週末ハイキング- 山の歩き方 -

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講習会〜座学編〜(遭難と雪崩について)

今回は所属山岳会の実施する登山リーダー養成のための講習会に参加してきた。

学んだことはリーダーとしてはもちろんであるが、登山者としても覚えておくべき大切な事だった。

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日 時  2019年2月16日(土)

目 的  講習会(山行の安全管理に必要な知識と技術を学ぶ、リーダーの育成)

 

 

2月16日、始発電車で今回の実施場所である長野県小諸市へ向かう。

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アニメの聖地

 

座学「山岳救助の実態」

山岳救助の実態。長野県警山岳救助隊の方のお話を聞くことができた。

ざっくりとメモ↓

 

警察の山岳救助隊は約30人程であり人数が少ない。それも各地域に常駐している。例えば北アルプスの近い松本には7人、中央アルプスは2人のみである。

遭難が多発すれば警察だけでは対処できないので、救助するにあたっては遭対協など民間と協力することが多い。

遭難者から「お金かかるか?」と聞かれることが多いそうだが、保険には入っておくべき。

 

ヘリコプターの出動はそう何度も出来ないのが実態である。1回出動した場合出動時間に比例して点検する必要がある。点検は必ずしなければいけないので、その間ヘリは飛ばせない。具体的な時間は忘れたが30時間、70時間などかかることもある。

5月の大型連休やお盆休みなどは遭難が多発するシーズンであるが、そういった中でもヘリを飛ばす時間は限られているので、どうしても救助が遅れてしまったりすることもあるそう。救助要請すればすぐにヘリが来ると思い込んではいけない。

また、安易な考えて救助要請をしてはいけない。本当に救助を求めている人が助からなくなってしまう。

 

遭難者に多い共通点として、「油断」している人が多い。

「自分は他の人よりも体力がある」と思い込んでいる人が多数。日々の日常で「ウォーキング」を行なっている登山者は多いが、実のところ山へ登る体力をつけるためにはウォーキングでは負荷が不十分である。筋トレやマラソンなどより高負荷のトレーニングを行なった方が良い。

 

④その他心得ておくべき事

 

・伝聞通報はダメ

例えば「怪我をしてる人がいました〜」「調子悪そうな人がいました〜」

では救助する立場の人はどうすれば良いのか分からず困るそうだ。

まず、そのような人がいた場合は、その場から動かない。自力下山出来るのか、本人が救助を求めているのかはっきりと確認する。その場で連絡(110番)をする。

 

・むやみやたらにSNSにアップしない

安易な気持ちでSNSに「迷ったナウ」などと投稿しない。SNSを読んでいる側からすれば状況が分からないのでおおごとになってしまう。実際に勘違いで第三者が通報し警察が出動した例もある。

 

・登山届けで一番早く確認出来るのはコンパス

登山ポストだと、救助要請を受けてから取りに行く必要があるが、コンパスならネット上ですぐに確認できるそう。また、本当に助かりたいのなら、登山届けの内容も充実させることが大切(ザック、雨具の色や、装備など)

 

座学「雪崩と雪質」

続いて、富山県立山カルデラ砂防博物館の飯田講師から雪質、雪崩の講義を受けた。

私自身、山スキーを始めたこともあり雪の話には興味があったが、難解なので苦戦していた。

今回の講義はとても分かりやすく、自分の中でもステップアップできたと思う。

ざっくりとメモ↓

 

雪とは・・・

雪は光を9割は反射している。雪は熱を持たない

 

①天気図から読み取る

・山雪型

縦の等圧線。高山ほど雪が降る。

 

・里雪型

袋状の等圧線。平野の方が雪が降る。

 

・南岸低気圧

太平洋でドカ雪・湿り雪

内陸部ではサラサラ雪→弱層となり得る

 

②山での雪質の変化

 

・暖かい南風で雪はよく溶ける。

雪面の上を通る南風が冷えて気体が水蒸気に変わる。その際に熱を発生(潜熱)

 

・山での雨

降雨で雪が溶けている訳ではない。山の雨はけっこう冷たい。

見た目は減っているように見えるが状態が変化しているから。

雪崩リスクがより高いのは、雨よりも南風が吹いた時。

 

弱層の形成について

 

弱層とは温度差で作られる。

下部にある雪は温度が高く、積もったばかりの新雪は温度が低い。

この差を温度勾配と言う。

夜間の放射冷却などによってさらに温度勾配は強くなる

 

下部の暖かい雪が蒸発する→上部の雪に再び凝結(上部の雪に「霜」がくっつく)

この上部と下部の雪の間に「霜」ができて、雪の隙間がガタガタである状態を

こしもざらめ雪、しもざらめ雪という。弱層である。

(実際に雪崩を発生させている弱層はこしもざらめ雪がほとんどだという。)

🌟時間がたてば弱層は消滅する。1日で消えるものもあれば、1ヶ月かかるものもある。

 

③雪崩リスクマネジメント

積雪、地形、気象を適切に評価し、適切な行動をする。

雪崩事故に対する装備やレスキュー方法を身に付けることが大切。

(例えば地形、凸状地形は雪が割れて雪崩やすい)

 

コメント

今回、雪崩や雪について学ばせてもらったが、やはり雪は複雑で難解だ。

色々なパターンがあり、正解が1つだけ、と言う訳ではない。

今回の記事は忘備録なので、もっと載せたかったが・・・、全てを載せたら時間がかかりそう。また少しずつ追記していきたい。

せっかく教わった知識を確実なものにするためにも今後も勉強していきたい。

 

今回おすすめされたもの

◉雪崩教本

本自体は薄いのに、内容はポイントをしっかり抑えてありオススメとの事。

 

◉Powder Search

観測地点の積雪や温度の変動をグラフで確認することができる。

雪の状態をある程度予測するのに活用できる。

powdersearch.jp