Wakaの週末ハイキング- 山の歩き方 -

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岩のてっぺんから眺める絶景!榛名山黒岩

昨日は表妙義の縦走を行った。今日は裏妙義に行く予定だったが、とある生物の猛攻に辟易し、行き先変更。

また、妙義の鎖場を登れば登るほど、いつの間にやら「クライミング欲」が出てきてしまった。相方も私と同じ気持ちだった。

妙義から近い岩場をネットで調べ、目的地を「榛名山・黒岩」へ決定した。

脱臼したばかりの相方を連れて行くのはどうなのかとも思ったが、やっぱりどうしてもやりたい・・・。無理はしない程度にやろうと約束した。

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 日 時  2018年8月17日(金)

山 域  関東・榛名山 黒岩

目 的  クライミング

コース  7:25駐車場ー7:40黒岩到着ー7:50取り付きー16:50下山開始ー17:00駐車場

標高差  118m

累積標高 (上り)257m・(下り)268m

天 気  晴れ

人 数  2人

アプローチ

 榛名山・黒岩は榛名山へ至る山道の途中にある。

道路脇のスペースに車を停めて出発する。

アプローチは全てトラバース。片道約10分。非常に楽チンだ。

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ガードレールを越える

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踏み跡を辿る

榛名山黒岩

いよいよ、目前に大きな岩壁が見えてきた。

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黒岩の説明看板

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現れる岩壁に心踊る

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錆びついたピトン

今回のルート

今回登ったのは南面の岩場だ。

19番クラック Ⅳ級

西稜 Ⅳ級

に挑戦してみる。

ライミンググレードについて

ちなみにこのグレードはRCCⅡグレードと呼ばれるものである。

簡単なⅠ級から難しいⅥ級まで、6段階で表される。

1958年に設立された第二次RCCによって定められたグレートであるが、当時はクライミングシューズが無かったので、全て登山靴で登られていた。(RCC=ロック・クライミング・クラブ)

 

もう一つデシマルグレードという規格もある。1960年代に誕生したもので、5.2から始まり、5.10(RCCⅡでいうとⅥ級)を最高難易度としていた。

1970年代にクライミングシューズが誕生し、さらに難易度の高い岩を登れるようになり、5.11、5.12・・・とさらなるグレードが誕生した。

 

5.11などは、私にとっては「壁」にしか見えない。

私の密かに憧れている「甲斐駒ケ岳・赤石沢奥壁の赤蜘蛛」も、最高グレードが5.11である。恐ろしいほどに「壁」である。いつか登れるといいのだけれど・・・。

①19番クラック

最初はヤンキー稜を登ろうかと思ったが、よく分からないのでルート変更。

おそらく19番クラックだろう、という場所を登ってみる。

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多分ここがヤンキー稜取り付きかもしれないが・・・。

ヤンキー稜左手の岩壁を1m登るとテラスに到着。

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相方がリード

テラスからは、ひたすら、岩の隙間を登って行く。

本当に19番クラックかは怪しい。

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隙間を登る

終了点に到着。

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終了点

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見える景色。

懸垂下降のバックアップ

その後、懸垂下降でスタート地点へ。

私はほぼ垂直で距離がある岩壁や、樹林帯での下降の際は必ずバックアップを取るようにしている。

バックアップをすれば、懸垂下降中に両手を離しても落下しない。

ロープが木に引っかかったのを取る時も楽だし、落石に当たって失神しても「落ち」はしないと思う。

 

バックアップをしないで下降する場合に途中停止する場合は、ロープを「仮固定」する必要があるが、筋力を使うので結構疲れる。

という事なので、非力な私は最初からバックアップをするようにしている。

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懸垂下降でスタート地点へ

昼休み

しばし、昼休憩を挟む。

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私はたらこパスタ派なのだが、相方の作ったペペロンチーノもとても美味しかった。

②西稜

最初から最後までリードをしてみた。

数m登ると、行き詰まる。

普通に登るしかないのだろうけど、難しく感じる。

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登れそうで登れない・・・。

周りをよく見ると、少し左に移動すればどうにか登れそうだった。

しかしそこに動くまでも苦しい。左の足元に幅4センチほどの突起。

数センチトラバースさえすれば、あとは登れそう。

やるべき事は分かっているものの、たった数センチの突起に足を乗せる勇気が無くて、しばらく亀になる。
下でビレイしている相方にしきりに「落ちるかもしれないから張っといてー!」という。意を決して踏み出した。無事に移動できて、一安心。

そこからもしばし悩む。かかとが浮いたままなので、次第にフクラハギが痛くなってくる。

足が力尽きる前に登らなくてはいけない。

上部にある木にしがみつき、腕力に任せ一気に登る。

無事に樹林帯に乗り上げる。

正規ルートより左に外れているが、安定したその場所で一時体制を立て直す。

 

たった数mしか登っていないが、かなり精神力を消耗した。

下で相方を長時間待たせてしまっているので、一度相方にここまで登ってきてもらう。

相方は直ぐに登ってきた。やっぱりフォローだと全く怖くないとの事だった。

 

その後、再び壁に張り付き登攀開始。その後は、特別苦労する場所はなかったが、壁にむき出しになり、高度感満載だった。

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ピカピカのボルトが打ち込まれていた

1箇所マントリングしなければならない場所があった。(体育館の舞台に上がる時みたいな動作)

なんて事は無い動作であるが、地面から遠く離れた場所である事を考えると、万が一手汗で滑ったら・・・。などと考えてしまう。

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こんなところでツルッと落ちたくない。

無事に突破して、ついに終了点に到着した。

頑張って登ったゴールからみた景色は素晴らしい。

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お隣さんは先ほど登った岩だ。

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相方も登ってきた。

ピークは少し狭いが、抜群の展望。

私たち以外には誰一人いない。こんなに良い場所を貸切りなんてとても贅沢だ。

もし、ここに鎖やハシゴがついてもっと楽に登れるようになったら、きっと人気になるに違いない。

いつまで居ても飽きない。そのうち夜まで滞在して星空を眺めてみたくなった。

 危険な終了点

西稜の終了点はピカピカ。

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しかしこれはリスクの潜んでいる終了点でもある。

家にあるクライミングの本で「危険な終了点」として紹介されているのに似ていた。

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最新クライミング技術 著者:菊地敏之

 

クサリは見た目が丈夫なのでつい安心してしまうが、果たして本当に信頼に足りるのか、と著者は指摘している。

金属類はスリングなどと違って、老朽化や疲労度が見えづらい。

また、本当に登山用であるのか、耐衝撃荷重はどれほどなのか。

そういった不明箇所が多いので、設置してあるからといって無条件に使うのでは無く、慎重に考えた方が良い。とのことだった。

 今回も、そういった事情を考えて、支点構築や相方のビレイなどを行った。

 

 ちなみに本書は「最新クライミング技術」(菊地敏之)である。

Amazonで中古で購入した。

技術についてはもちろん、先ほどのように「危険な例」も載っている。

私のように、危険なことすら分からない人にはうってつけの一冊だ。

とはいえ、本書の初版は2002年であり、今から16年も前だ。

きっと本当に「最新」のクライミング技術とは多少違いがあるかもしれない。

この本ばかりをあまり鵜呑みにせず、色々な情報を混ぜ合わせて自分なりの知識を確立していきたいと思っている。

 
しばらく景色を堪能して、スタート地点まで懸垂下降で降る。

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トップロープ練習

時間も14時を回っていたので、残り時間はトップロープで練習することにした。

懸垂ポイントにロープをセットして下降する。

ライミングシューズに履き替え、交互に登攀する。

5.10bらしいが、どこからどうみてもツルツルのスラブで登れそうにない。

結局、微妙に巻いて、楽なルートから登攀。

何回も登って、どこに足をかけるのかじっくり観察するが、そう思われる場所に足を乗せてみるとズリッと滑ってしまう。

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ここから上がどうしても無理。結局左側の隙間を登った・・・。

シングルロープがないので、ダブルロープを使用したが、果たしてこの使い方があっているのかは誰かに質問しなければいけない・・・。

 

あっという間に17時になり、撤収。

ライミングはやっぱり楽しい。

今回のまとめ

今回は、2ルートを登った。

西稜ルートはリードしたが、やはりフォローで登るのとトップで登るのとでは緊張感が全然違った。苦労した分達成感が大きくて、より深く記憶に残るのも、自分がトップを務めたルートだった。

山の先輩の言葉で、「君がトップをやれと言われた時は大丈夫、自分がトップをやるとスッと動き出してしまうと危ない。」と教えてもらったことがある。

いつか、一緒に行く人に「君がトップをやれ」と言われるくらい上手になれたら安心だ。

それに、そう言われたのなら、嬉しいばかりである。

今のところ、危険なシーンでは相方に頼ってしまうし、私もまだまだである。

 

ちなみに今回のルートはクライミングの世界では大体の人は「ウォーミングアップ」でこなしてしまうようなルートだと思う。

私にとっては、時間もかかるし、苦戦もする「難ルート」であるが、いつかは簡単に登れるようになりたい。