Wakaの週末ハイキング- 山の歩き方 -

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南アルプス間ノ岳直登!ハイマツの楽園・弘法小屋尾根を進む

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白峰三山の1つ「間ノ岳」に登ってきました。

今回は「弘法小屋尾根」を登ってのルートです。 

日程

201792日(土)〜

2017年93日(日)

目的地

野呂川発電所〜功法小屋尾根〜間ノ岳〜農鳥岳〜大門沢

目的

間ノ岳直登

天気

晴れ

メンバー

4人

今回の山について

間ノ岳

間ノ岳は、山梨県南アルプス市と静岡県静岡市葵区にまたがる標高3,190mの山です。標高ランキングは北アルプスの奥穂高岳と同立の第3位になります。

麓から直接登る一般登山道はないため、白峰三山や南アルプスを縦走する際に登られることが多い山です。

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 弘法小屋尾根

弘法小屋尾根は、そんな間ノ岳へダイレクトに繋がっている尾根です。

そこは登山道はなく、ハイマツだらけの藪尾根ルートです。

弘法小屋尾根の下に「尾無尾根」というのもあります。ここも、間ノ岳へ直登できる尾根です。

 

野呂川発電所から出発

初日、奈良田に前泊。翌朝始発のバスで向かいます。

今回のルートは渡渉があるため、もし増水していたら進むのは困難。撤退する予定でした。

一晩雨が降りましたが、翌朝駐車場の脇の川を覗くと、流れる水は少量でした。

ホッと一安心。予定通り「弘法小屋尾根」へ出発です。

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大規模な土砂崩れ

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渡渉

途中で川が現れ、何回か渡渉。今は9月上旬ですが、水温は冷たい。非常に冷たい。

多少なら我慢できますが、長時間浸かることは厳しいです。

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今回はラッキーなことに水位はそれほど高くありませんでした。

高いところで膝くらいでした。が、水流が結構強い。

流されないように足を踏ん張って慎重に進みます。

合計4回くらい渡渉したでしょうか。

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まるで要塞のような厳つい堰堤です。

 

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もう渡渉は無いと考えて、きっちり登山靴を履く。

しかし、すぐに渡渉スポットが現れた。

どうにか、岩を飛びうつれないか探したものの、見当たらない。

再び靴を脱いで渡渉。脱いだり履いたり異様に時間がかかります。

合計で1時間半も費やしてしまいました。

弘法小屋尾根へ

ついに「弘法小屋尾根」の取り付きが。

巡視路を利用して取り付きます。

この巡視路、一本道ではなく、あちこちに分岐があります。

道なりに進んでいくと、次第に離れていってしまいました。

GPSでこまめに位置確認しながら、目的の尾根に方向修正します。

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弘法小屋の跡地

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先に地形図を読んで予測はしていたものの、勾配が急です。

地味にきつい勾配が足に負荷を与えます。

倒木とか、邪魔です。

でも、人が滅多に歩かない藪尾根は、本当に美しい。

木の香りが充満しています。まさに原生林です。

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ハイマツとの激闘 

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標高2,600m付近。ついに「奴ら」が姿を現した。

私たちの前にあるハイマツは深いものの、なんとかなるレベル。

大した事無いなぁと思いながら、予想よりも楽に前へ進む。

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バカにしたのがいけなかったのか、次第にハイマツたちは勢力を増していった。

背の高いハイマツ、枝の細かいハイマツ。踏みつけるに苦労する。

4人パーティーで、先頭を変わりながら進んでいく。

後ろの人は前の人が踏んだハイマツをそのまま踏みつけて移動。

最後尾は楽なポジション。

ただ油断して写真を取っていると、列から離れてしまい、ハイマツたちが起き上がってしまう。そうなると取り返しのつかないことになるので注意。

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間ノ岳が見えた。

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北岳も!

なるべく列を詰めて進む。

ハイマツの跳ね返りアッパーに何度かやられる。硬い枝に腹を突き刺される。

全く、難儀なコースです。

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強風地帯はハイマツも落ち着いている

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岩のピークをクライムダウン。残置スリングがありました。

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傾斜のあるハイマツはさらに強力でした。

全身全霊の力を込めて摑みかかる。

 

私はこんなに苦労しているのに。

悔しいくらいに空は晴れ渡り、時折ハイマツが落ち着く場所から見る景色は絶景そのもの。素晴らしい尾根です。

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北岳や間ノ岳がでっかく、かっこよく見えます。

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鳳凰三山が見えます。

岩とハイマツの尾根を進む

翌日は朝4時に行動開始。

朝一から、ハイマツとの格闘が始まる。

 

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街の明かりが綺麗です

 次第にハイマツは勢力が衰えて行き、膝丈くらいのが続くようになりました。

ここからは、別の注意が必要になります。

 

痩せ尾根にハイマツが生えている。夜明け前で暗い。実にいやらしい。

私のヘッドライト暗すぎ。

いくつか岩をトラバースしましたが、かなり神経を使いました。

下はハイマツが生えていて足場が見えない。

また、岩も脆い。一度だけ掴んだやつがぽきっと折れてしまいました。

思わず悲鳴をあげる。

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ご来光。一気に空が明るみ、私を安心させてくれる。

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真っ赤に染まる間ノ岳

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弘法小屋尾根は次第に間ノ岳に近づいていく。

尾根を一旦降りて、カールの端っこを登っていく。

ガレ場なので、落石に注意。

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カモシカの足跡があったので、頼りに登っていく。

かなりの急勾配でしたが、まるでここに足を置いてくれと言われているかのようにくぼんだ場所が左右交互に続いていました。

この足跡のおかげでかなり助けられました。

 

最後の最後でっかい岩が目の前に現れる。

少し揺らして強度を確認するとグラッグラ。

これはやばいやつだ。

みんなが上に登ったのを確認してから、足で軽くけとばすと、その石は簡単に外れ、カールの急斜面をすごい勢いで転がっていった。

弾んで、二つに割れ、大轟音を鳴らしながら、すっ飛んでった……。

稜線と合流

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稜線から「弘法小屋尾根」を振り返る

最後の最後で、再び「弘法小屋尾根」に乗り、尾根を歩いて稜線へ向かった。

間ノ岳山頂より少し北岳よりの稜線に飛び出す。

前方には人が歩いている。久しぶりに見かけて安心した。

後ろを振り返る。ずっと歩いてきた「弘法小屋尾根」が見える。

さらに進むと、実に綺麗な登山道が現れた。間ノ岳へ向かって歩き出す。

間ノ岳山頂

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間ノ岳山頂

山頂標識を見ると、喜びが込み上げてきた。

ついに、憧れの「弘法小屋尾根」から「間ノ岳」へ歩いたんだ。

夢みたい。

空は素晴らしい晴天。最高の気分。

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山頂付近から富士山の絶景も

しばらく景色を堪能したら、「農鳥岳」へ向かいます。

ここからは一般登山道。先ほどよりはだいぶ気が楽になりました。

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農鳥小屋の犬たち

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振り返ると「間ノ岳」。「北岳」も見える。

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農鳥岳山頂。

農鳥岳にも到着。

白峰三山もついに制覇!

大門沢から下山

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大門沢の分岐には、大きな目立つ鐘がありました。

昔、20代の単独の男の子が猛吹雪の中、この大門沢分岐に気づかず稜線を進んでしまい、遭難死してしまったそうです。

その時の光景を想像して、胸が痛くなります。

慌てて下山

「下山したら、奈良田の里のベーコンレタス丼が食べたい。」

以前、私が食べたのが気になったそうで、メンバーの一人がそう言いました。

それならば、早々に下山しなければいけません。

 

 

時間を見ると9:50。第一発電所から奈良田行きのバスは14:49。

約5時間の有余。一般CTは5時間35分。

バスの時間、飛ばさないと間に合わないのでは…。

みんながストックを取り出すので、私も真似して取り出す。

ストックの優秀さに驚く

私はストックを歩行の補助で使うことは滅多にありませんが、今回そのありがたさを実感しました。

例えるならば、まさに「移動式手すり」である。

ストックを持っているだけで、格段に安定する。

ちょっと怖い段差や、手を使って降りたくなるような場所も、ストックがあれば怖くない。

地面に突き立て、体重を乗っけてヒョイっと降りる。実に軽やか。

私のスピードアップにかなり貢献してくれました。

 

 大門沢小屋へ到着

予定よりも早く大門沢小屋へ着いたので、30分ほど小休止することとした。

ここで小屋の人と話していたら

「第一発電所から奈良田までなら全然歩けるよ。」

とのこと。

こっからバスに乗る人は本当に怪我した人とかで、大体の人は歩いて帰っているそう。

そんなに距離が近いとは想像していなかった!

 

ふと、小屋の壁に奈良田の里「食事処こんぼうす」の案内チラシを発見。

営業時間が載っている。15:00まで。今は11:50。

 

よかった、まだ間に合いそうです。

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落石が直撃して橋が崩壊。実にデンジャラスである。

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 奈良田の里へ

食事処こんぼうす

奈良田の里「食事処こんぼうす」へ到着したのは14:20

そのまま食券売り場へ行く前に、店の人が出て来たので、「ベーコンレタス丼が食べたい」と言った。

「もうご飯がないから、あと1人です。」という返答

慌てて聞き返すと「ちょっとまって、聞いてくる。」と、厨房に引っ込む店員さん

「あと2人ね!」

そして、4人メンバーの内、2人が念願のベーコンレタスを食しました。

私は、食べたことがあるので、今回は仲間に権利を譲りました。

 

ちなみに、散々「ベーコンレタス丼」と言っていたけど正式名称は「ベーコンステーキ丼」でした。

 

で、私は山菜そばを食べました。私は蕎麦が好きですが、これはなかなかいける。

コシもあり、美味しかった。ちなみに夏限定の冷そばです。

 

食べた後は、温泉へ

服を脱ぐと、ハイマツの葉っぱがポロポロと落ちてきた。

周りの人にバレないように慌ててかき集めゴミ箱に入れる。

髪を洗うとハイマツの香りがしました。ゆっくりと風呂に浸かる。

ハイマツ漕ぎで、服もかなり汚れ、ボロボロになりました。

今回の温泉は今までで一番極楽でした。

 

今回のまとめ

また一つ憧れのルートへ行くことができました。

まさかこんなに早く行くことができるとは思いませんでした。

一緒に同行してくれた山仲間たちには感謝の気持ちでいっぱいです。

最高のクライマー、最高の山スキーヤー、最高のトレイルランナーという強者たちに囲まれたおかげで突破することができました。

今後は、もっとたくさんのバリエーションルートにいきたいです。

そのためにももっと勉強しないとなぁと思います。

そして、もっと刺激的で冒険的な山登りを楽しめるようになりたいです!