Wakaの週末ハイキング- 山の歩き方 -

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北岳の嶺朋ルートを歩く2/2〜嶺朋ルート編〜

その1から続きます。

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綿毛になったチングルマ

 北岳山頂から八本歯へ

天気はどんどん悪くなる一方です。

北岳山頂を出発して、次は「八本歯の頭」方面へ向かいます。

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そして、ついに雨がポツポツと降り出しました。

まだ小雨だったので、レインウェアの上だけはおります。

 

北岳の南側も、高山植物の宝庫でした。

先輩が頻繁に立ち止まっては撮影します。

私は雨が降っていたし、なんだか疲れてきたので、その間ぼーっと立っているだけ。(笑)

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ミヤマキンポウゲの群落は見事でした。

次第に雨が強くなっていく。

いよいよ大変になってきたので、レインズボンを履こうとしたのですが、事件発生。

ザックの雨蓋を開き、手早くレインズボンの袋を取り出す。

 

最近は慣れたもので、「あれがないこれがない」とザックを漁る行為もしなくなりました。

 袋の口を開け、中身を取り出す。

「あれ?」

 何故か、スパッツが出てきた。

 

一瞬目を疑ったが、どこからどう見てもスパッツに違いはなかった。

途端に気持ちが焦り出し、ザックの中をくまなく探すが、どこにもズボンは見当たらない。

 

雨合羽だと思ってスパッツを持ってきた。

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北岳山荘、八本歯のコルとの分岐

原因は簡単に予測できました。

家で、山グッズを散らかしていた私。母親が見かねて片付けを始める。

レインズボン用の袋が手頃だったので、その中にスパッツを収納した。

母親の良かれと思ってやった行為なので、怒るに怒れない…。

 

おかげでずぶ濡れになったし、一泊だけだからよかったものの、下手したら低体温症になってたかもしれない。

でも、やっぱ怒れない。完全に悪いのは私です…。

今度は気をつけようと心に誓いました。

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タカネビランジ。立派な一株

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向こうにも群生しているのが確認できました。

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八本歯の頭

最悪なことは重なるもので、一泊だし、レインウェアに頼りきっていた私は

着替えも持ってきませんでした。

土砂降りの中、やっとの思いでテント幕営予定地に着いたころには

 全身びしょ濡れの濡れ鼠。

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ガスに巻かれた北岳バットレス

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日暮れ時。雨は止み、幻想的な空が見えました。

 

テントの中で、ガスをたいたら、そこそこ乾いてくれました。

 

仕上げは寝袋乾燥室で行うことにして、寝支度開始。

寝袋に潜り込んでじっとしているが、なかなか寝付けない。

お尻が寒いのが気になる。 

そういえば私のパンツは綿素材だった。

普通にタウンユース(?)山用でもなんでもないやつ。

 どうせ1泊だからと思って化繊維パンツは履かなかった。

濡れた綿というのは、本当に体を冷やすものだと実感した。

 

仕方ないのでノーパン作戦を実行。

その後は、次第に体も温まり、朝までぐっすりと眠ることができました。

(ちなみに1人ツェルトで寝たのでしっかり個室です。笑)

 

翌日。素晴らしい天気に

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金星が明るく輝いています。

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夜明け前に起床。

 

先輩が、「星がすごい見える!!」と騒いでいました。

もぞもぞと外へ這い出して見上げると、確かに満天の空が広がっていました。

すごく寒い!

慌てて寝袋を体に巻きつけて再び外へ。

ぼーっと夜空を見上げていたら、流れ星が。

 

生まれて初めて見た流れ星は本当に綺麗で、感動しました。

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ご来光

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赤く染まる北岳バットレス

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甲斐駒ケ岳

日の出は鳳凰三山の向こう側から。

この瞬間、いろんな山の頂上で、多くの人が、一点を見ている。ご来光を待ちわびているのかな。なんだか、すごいです。

光に照らされ、バットレスが赤く染まる。

素晴らしく綺麗な光景。昨日の土砂降りが嘘みたい。

 

嶺朋ルートへ向けて出発

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朝6時。

名残惜しいですが出発の時間になりました。

広河原から出るバスの時間もあるのでそろそろ行動開始です。

 

最後にもう一度、北岳バットレスを目に焼き付けます。

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マッチ箱のコル

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第四尾根に取り付くクライマー。手を振ってくれた!

いよいよ「嶺崩ルート」に向けて出発です。

素晴らしい展望、ひざ下くらいのハイマツの中進んで行きます。

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隣の長大な尾根は「功法小屋尾根」間ノ岳に続いています。今度歩く予定の尾根。しっかり確認します。

 おこじょに遭遇

ハイマツ帯を歩いていると茶色い小動物が横切りました。

「おこじょ!」と興奮した様子の先輩。

「え?みてないです!」と私も慌てる。

みんなでキョロキョロしていると、おこじょの方から再び飛び出してきました。

サービスショット。

人間に興味があるようで私たちの周りのハイマツを盛んに移動していました。

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絶景の稜線歩き

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楽しい気分になりながら、絶景の稜線歩き。やっぱり山は最高です。

「ボーコン沢の頭」からは素晴らしい展望が。

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北岳と間ノ岳を繋ぐ「日本一高い稜線」

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北岳バットレス。

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甲斐駒ケ岳

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「ボーコン沢の頭」のケルン

そういえば、ボーコン沢に漢字を当てると、「亡魂沢」となります。

大体、どこの本を読んでも「ボーコン沢」となっていますが、南アルプス登山体系ではチョロっと漢字表記で出てきます。

縁起の悪い漢字だから、カタカナ表記にしているのでしょうか?

なぜ、この名前なのか?由来はなんなのか?実に気になるところですが今はまだ不明です。

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遠目に草原のような場所、「草すべり」が見えます。こうして見ると、冬は雪崩の巣窟になるのも納得がいきます。

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ズームすると見覚えのある登山道が

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北岳山荘

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肩の小屋まで見えます。

今回の核心「嶺朋ルート」

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「嶺朋ルート」の分岐に到着。

本当に最後の最後、北岳バットレスともお別れ。

稜線を外れ、広河原に向かって下山です。

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まずはハイマツとシャクナゲの藪漕ぎから始まります。

茂みは深いですが、足元は踏み跡っぽくなっています。

時々枝を踏み倒しながら進む。朝露で全身濡れる。

次第に傾斜が増していく。最初はハイマツにつかまりながら下降していましたが、次第にハイマツもなくなり、掴むものがなくなる。

仕方なく頼りない雑草を頼りにする。時々すっ転びました。

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倒木を跨いだり、潜ったり、岩を渡ったり、雑草を掴んで下降したり。

雨上がりで滑る。虫も多い。

赤ペンキはしっかりついているものの、時折倒木が邪魔して見つけにくい。

一度迷うと少し危ない。

この尾根は地形図に現れない起伏があるのでGPSを見たところで正しく歩くのは難しい。

そうならないためにも赤ペンキを見落とさないように、慎重に歩きます。

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嶺朋ルートの看板がちらほらと現れる

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崩壊地の真横を歩く。

崩壊地の真横で、ガチ滑りをした。

即座に雑草にしがみつく。

心からひやっとしました。

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黄色いギンリョウソウ?!調べたところ「シャクジョウソウ」というらしい。余裕なくてよく撮れませんでした。もう一度会いたい…。

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奥歩いているの、私。もうそろそろ広河原。

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無事に広河原まで下山。奈良田行きのバスにも間に合いました。

皆んな、すっかりお疲れモードで「もうこのコースはいいかな…。」って。(笑)

私は、行きたい!って人が現れたら一緒について行きたいかな。

奈良田の里

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ベーコンステーキ丼(1,000円)

帰りは、「奈良田の里」に寄り、温泉と食事。

「食事処こんぼうす」でベーコンステーキ丼。タンパク質の不足した身体に効果抜群。すごく美味しいです!

別の機会に、「山菜蕎麦」も食べましたが、蕎麦もコシがあって美味しかったです。八割蕎麦なのかな?

ちなみにここは営業時間15時までと、早いので要注意です。(笑)

 

そして奈良田の歴史について学ぶ。

昔、奈良田の人々は「焼畑農耕」で自給自足の生活を送っていたそうです。

周りは山に囲まれていて、平たい土地が無かったので、山腹のかなり急傾斜な場所で無理やり行っていました。

焼畑は16年周期で行われ、現代では考えられないほどの労力をつぎ込んで農耕を行っていました。

それでも焼畑で育つのはヒエ、アワ、ソバなど。

決して栄養価の高いものではなかったので貧しい生活ではあったようです。

ビデオを見ていると、かなり大変そう。

村の人全員が一丸となって、老若男女全員が実にハードな仕事をこなしてました。

今回のまとめ

今回は一度は行って見たかった「嶺朋ルート」に行くことができました。

かなり土まみれになった山行でしたが、楽しかったです。

なんだか、ここ最近、南アルプスの藪尾根を歩く機会が増えてきたので、なんとなく自分の趣向もそっち寄りになりつつあります。

とはいえ、そこは登山道のないバリエーションルート。油断禁物。安全第一。

自分の力量を読み間違えることのないよう、危険に晒されることのないよう、山登りを楽しんで行きたいです。