Wakaの週末ハイキング- 山の歩き方 -

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北岳の嶺朋ルートを歩く1/2〜アプローチ編〜

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8月5日〜8月6日に北岳に行ってきました。

今回はバリエーションルート

 

「嶺朋ルート」です。

 

日程

201785日(土)〜

2017年86日(日)

目的地

広河原〜大樺沢右俣コース〜北岳〜八本歯のコル〜ボーコン沢の頭〜嶺朋ルート〜広河原

目的

嶺朋ルートを歩く

天気

晴れ

メンバー

4人

 

※このルートは登山道のないバリエーションルートです。

入念な準備とルートファイディング能力、熟練者と行動する必要があります。

 

今回のルートについて

 北岳について

まず、北岳は山梨県南アルプス市にある標高3,193Mの山です。

富士山(3,776M)に続く日本第二位の高峰です。

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北岳の南稜線には日本第三位の高峰である間ノ岳(3,190M)、農鳥岳(3,026M)が続いています。

この3つの山を総称して「白峰三山」と呼ばれています。

また北岳〜間ノ岳の稜線も標高3,000M以上あることから、「日本一高い稜線歩き」をすることが出来ます。

 

同時に「花の百名山」としても有名で、登山道の脇にはたくさんの高山植物が群生しています。

特に6月下旬〜7月上旬にしか咲かない「キタダケソウ」は有名で、毎年多くの人がその花を一目見に集まります。

 

景色も良く、花も咲いている山。

ここに連れて行けば誰でも山が好きになる場所だと思っております。

 

嶺朋ルートについて

嶺朋ルートは知る人ぞ知る、といった感じでしょうか。

私がこのルートを知ったのは、静岡県の藪山のスペシャリスト、永野敏夫さんの本を読んでからです。

具体的には、下の画像の紫の部分を嶺朋ルート(嶺朋尾根)と呼びます。

昭和47年に山梨の山岳会である「嶺朋クラブ」によって開拓されたルートです。

毎年、クラブの人たちの手で整備されているそうですが、バリエーションルートであるため、一般登山道と比べると格段に大変な道です。

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※今回は「アプローチ編」なので、広河原から北岳までの一般ルートを歩いています。

嶺朋ルートを歩いているのは次の記事(2/2)なので、こちら興味ない方はすっ飛ばしてください。

 

広河原から出発

1日目、前日のうちに奈良田駐車場まで入り、始発バスで広河原まで出発。 

芦安と比べると奈良田は人が少ない。

バス発車30分前にバス停に並んだら、無事に席に座れました。

揺られること1時間。広河原は賑やかで、人が沢山いました。

混雑は嫌いだけど、この広河原の賑わいは好きです。

こんなにも同じ山好きがいるんだということが分かり、嬉しくなります。

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いよいよ出発です。 

広河原からは北岳の山頂がはっきりと見えました。

今日はあそこに登るんだ。

 

登山道はほどほどに人が歩いていました。

今回、私たちのパーティーは調子が良いみたいです。

何回か人を追い抜き、順調に高度を上げて行きます。

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橋の手前で休憩。涼しくて良い場所です。昔はこの先に登山道が続いていましたが、崩壊した為に橋を渡り巻いています。「山と高原地図」でも「崩壊地」と表記されています。

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ミヤマハナシノブ。北岳と白馬岳にしかないらしい。この後もシノブさんに沢山お会いしました。

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ハクサンフウロ

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イブキトラノオ。「伊吹山」で発見された「虎の尾」

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タカネナデシコ。奥にぼんやりとハクサンフウロも写ってました。(笑)

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北岳バットレスを見上げる。

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大樺沢は「八本歯のコル」に突き上げている。


大樺沢の雪渓はだいぶ溶けていました。雪の下はすでに川になっています。

さすがに雪渓の上を歩くのは危険なので、脇の登山道を歩いていきます。

 

大樺沢二俣から右俣コースへ

ちらほらと高山植物が現れてきました。

同じ花が何度も何度も現れ、山岳会の先輩がその度に「これは何でしょう?」とクイズを出してきます。

何回も答えていくうちに、いい加減に覚えました。(笑)

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シロウマオウギ

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センジュガンピ。ナデシコの仲間。

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マルバタケブキ。

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ミヤマクワガタ。昆虫の名前みたい(笑)

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ミヤマコウゾリナ。「深山顔剃菜」茎や葉に生えている毛が鋭いことから命名された。日中は開花して、夜はお休みのため閉じているそうです。

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ミヤマコゴメグサ

 

標高を上げていくにつれ、次第に天気がどんよりとしていきます。

出発している時より雲が増えました。

それでも、その雲はうまい具合に太陽を隠すことはなく、曇っているのに日差しがガンガン照りつける不思議な状況。

とにかく暑い。風も少なくて汗が噴き出す。

大樺沢二俣分岐から右俣コースに入ってからは登山道が狭いし、日差しが強いしでなかなか休憩適地が見つかりません。

しかも調子の良いペースなのでさらに発汗が加速する。

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 鹿よけネットの張られた場所に到着。

ネットの向こうには数々の花が咲いているのが見えました。

が、だいぶ体力を消耗していた私は写真を撮る気力も湧かなくてスルー(泣)

 

北岳はどうやら鹿が多く出没するらしい。

ネットの張られた場所はたくさんの花が咲いていますが、そうでない場所は食害が酷かったです。

鹿も食べない毒の花「マルバタケブキ」だけが唯一、群落となって咲いていました。

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テガタチドリ

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キタダケトリカブト

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ウサギギク。葉っぱがウサギの耳みたい。

稜線に到着

ついに樹林帯を抜け、待望の稜線に出ました。

「はぁ〜〜!」と思わずため息が。

小太郎山のよく見える場所で小休止。

曇っているとはいえ、とても気持ち良い。

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小太郎山

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目の前に仙丈ケ岳

十分休憩して、次の目的地「肩の小屋」へ向かおうという時。

ついに天気は限界間近に。みるみるガスがかかり、今にも降り出しそうな雰囲気に。

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チシマギキョウ。イワギキョウと似ているがこの子は毛深いらしい。

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「肩の小屋」に到着

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 先輩と花壇を見にいきました。

 

ここでは「キタダケソウ」も育てられています。多少シーズンが遅れてもここでなら見ることができます。

今は8月上旬。少し期待はしたものの、さすがに「キタダケソウ」の姿はありませんでした。

代わりにヤツガタケタンポポを発見。見慣れていないと「ウサギギク」と区別がつきませんが、そこは葉っぱの形で判断します。

「ウサギギク」はウサギの耳、「ヤツガタケタンポポ」はギザギザの、それこそタンポポの葉っぱです。

ちょうど居合わせたお兄さんに聞かれたので、そう答えました。

「詳しいね!」と褒められてちょっと嬉しかったり。

完全に、先輩の受け売りではありますが。(笑)

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ヤツガタケタンポポ

天気も怪しいままなので、手早く休憩を済ませ、「北岳」山頂へ向かいます。

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イワヒバリ

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幻の花、タカネマンテマ

と、その時、先輩が足を止める。

「あったーーー!」と嬉しそうなが聞こえてきました。

その指差す先には珍妙な形をした花が。

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タカネマンテマ

「タカネマンテマ」だよ。と教えてくれました。

まるで蕾のような外観ですが、これで開花している状態らしいです。
先輩曰く、この花は非常にレアな花だと。

絶滅危惧種IA種(CR)に指定されています。

レッドリストの中でも非常に高いランクで「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」とされています。

南アルプスの標高3,000m付近にしか生えておらず、2010年の段階ですでに100株以下まで数を減らしているそうです。

先輩はずっとこれを探しながら歩いていて、ついに見つけることができたと喜んでいました。

そういえば、さっき休憩した時も、なんだかを探して!と指示を受けた気がしましたが、全く動く気も耳を傾ける気力も湧かなかったのでスルーしてしまいました。

なるほど、このお花を探していたのか。(笑)

 

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ついに北岳山頂へ到着

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ガスガスで展望は望めず。

と、白くて綺麗な花を発見。まるで踏まれないよう、岩で囲まれています。

それを発見した先輩がまた、喜びの声をあげました。

「やーやーやー、これはすごいぞ!」と大興奮。

「これなんですか?」と聞いたら

「なんだと思う?」と、クイズ形式に。

「当てたら1,000円あげるよ。(笑)」と自信たっぷりのご様子。

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タカネビランジ

ヒントを求めると、北岳にあることが珍しいとのこと。

そういえば、鳳凰三山ではホウオウシャジンとタカネビランジが有名だって教えてもらったことがある。

当てずっぽうだけど、最近覚えたワードを言ってみる。

「タカネビランジ?」

「なんで分かった?!」

やった、正解!1,000円の債権ゲットです。(笑)

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イワベンケイ。黄色が雄花、茶色が雌花。

北岳山頂では、もう一つ面白いものが見れました。

先輩の受け売りですが、この花「イワベンケイ」です。

雌雄で花の色が違います。黄色が雄花、茶色が雌花です。

この写真だと一目瞭然で分かります。

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イワヒバリがよく撮れました。

↓その2に続きます。↓

北岳の嶺朋ルートを歩く 2/2