地形図を読めれば山が100倍楽しくなる!~藪山で地図読み講習会を受けてきた~
日曜日に、山梨県の山岳ガイドの三上浩文ガイドの地図読み講習会に参加してきました。
日程:2017年3月5日(日)
目的地:金桜神社〜猫坂〜三角点〜金桜神社
目的:地図読みスキルのアップ
天気:晴れ。暖かくて過ごし易い一日。場所によって少し風があった
私は以前から三上ガイドのブログをちょくちょく読んでいます。
三上ガイドは藪山で登山道のない場所を自分で道を考えながら歩きます。
その山行スタイルが楽しそうで、面白そうで、私もこんな山登りが出来るようになりたいなとずっと思っていました。
そうしたら、最近ブログで地図読み講習会をやるとの告知がありました。
始発の電車に揺られ約3時間。山梨県甲府市に行ってきました。
☆三上ガイドのブログです☆
▶︎基礎中の基礎から教えてもらいました
今回は地形図とコンパスを使っての読図講座です。
茅ヶ岳の25,000分の1の地図を用意します。そこで磁北線の引き方と地図の折り方を習いました。
白い部分を折って写真のようにまとめることで、保管もしやすくなるそうです。
地形図の決まりごと。
「尾根地形」高いところから低いところへ向けて突き出している形
「沢地形」低いところから高いところへ向けて突き出している形
この両者は必ず隣り合っている。
この地形とルールを理解することがとても大切だそうです。
そしてもう一つ。
地形図にも少しの誤差や間違いがあるという事。
全てを鵜呑みにしてはいけません。
▶︎自分の位置を把握する
まず初めのポイントは、スタート地点の段階で自分の位置を分かっておくこと。
どんなに熟練した人でも、居場所が全く分からないのであればどうしようもないそうです。
スタート地点の段階で、周りの環境を観察し場所を特定しました。
ここで、三上ガイドが注目したのが堰堤でした。
車に乗っている時に「ここに堰堤があるからね。」と言われ、その時は私も「堰堤?だから何だろう?」と思っていたのですが、自分の居場所を特定する際に堰堤の場所が重要な手がかりになることが分かりました。
場所特定した時の景色。
この写真だけでも自分の位置を特定するための手がかりがあちこちにあります。
地形図を見ると堰堤が表記されています。
地図読みポイント
周りの環境を注意深く観察する。建造物も自分の位置を特定する手がかりになる。
細かいところで三上ガイドが、ここがこうだから今居る場所はここだよ。と教えてくださいました。
自分だと気づかなかったけれど、言われてみたら確かに、そうだ!となります。
このひらめきの感覚は推理ドラマを見ている時と似ています。
▶︎地図読みしながら古道を歩く
前半戦は、今はなき古道を歩きます。昔の人たちが生活道路として使っていた道だそうです。
あちらこちらに祠があり、人が歩いていたことが分かる痕跡がありました。
ビックリしたのが、ここから金峰山まで歩いていけるということ。
昔は実際に歩いていたとか。地図を見るとその果てしない距離の長さが分かります。
地形図では道が表記されていない場所にあった祠。立派です。
あっちで止まり、こっちで止まり、地形図と実際の地形を見比べます。
猫坂手前の場所。
地形図上では「尾根」「沢」「尾根」となっていますが
実際に歩いたとき私の感覚では「尾根」「沢」「尾根」「沢」「尾根」という風に見えました。
あれ?と思って質問したところ等高線に現れない小さな尾根であると教えてくださりました。
等高線の間隔は10m。この高さに満たないものはたとえ起伏があっても地形図には反映されないそうです。
地図読みポイント
全ての起伏が地形図上で読み取れるわけではない。
▶︎猫坂に到着
試行錯誤しながら、やっと猫坂に到着しました。
頭を使って歩いた分、いつもより疲れました。
猫坂の様子です。
祠があります。近くに鳥居の立っていた後がありました。
猫坂は地形図を見ると、稜線上のちょうど鞍部になっています。
北側はこんな感じ。
東側を向くとこんな感じ、地面が盛り上がっています。
猫坂の地形図。
視界の開けた場所に移動しました。
絶景が広がります。奥に金峰山。左側に黒くて形の綺麗な三角の山があります。「みみ石」と呼ばれる山だそうです。手前の岩岩している所が燕岩岩脈です。
みみ石。低山ではあるものの形がとても良いです。
金峰山山頂付近から手前の西側に向かって伸びている尾根は八幡尾根。
シャクナゲの激ヤブだそうです。
東側に黒富士が見えます。猫坂から行けるらしいです。
地形図で確認して見ると、等高線の感覚がかなり狭いです。ザイル必須だということです。
▶︎ツェルトの色々な使い方
お昼は、猫坂で休憩。
三上ガイドがツェルトを使って風除けのシェルターを作ってくださりました。
所要時間3分。
目を凝らして観察していましたがあっという間に完成してしまいました。
最近、ツェルトには緊急時以外にもたくさんの使用用途があることが分かってきました。
使いこなせるようになる為には何度も練習する必要があるという事で、これからもたくさん覚えていかなきゃなと思いました。
木と木の間にザイルを張ります。
ザイルに紐を巻きつけてあります。摩擦抵抗が作用して紐がズレる事はないそうです。
▶︎オリジナルルートで三角点まで進む
後半戦は、猫坂から三角点まで歩きました。
まず地形図を読んで、どこが歩けそうかを話し合います。
この話し合いも私にとっては初めての経験です。
沢地形を登り、下りは尾根地形を進むことになりました。
この景色を正面に向かって進んでいきます。
左にいて右側を見ている状態です。
地形図では明確な沢地形ですが、いざ実際の景色を見ると木が生えていて分かりづらかったです。
無事に三角点にたどり着きました。
三角点から尾根道を下る時、私が先頭を歩きました。
その途中、三上ガイドから「ちょっと待って」とストップが。
自分ではあっていると思って進んでいた方向が少しずれていました。
そのまま進むと、尾根から外れてしまう所でした。
地図読みポイント
絶対に正しいと思い込んではいけない。 常に疑いを持つこと。
私にとって初めてのオリジナルルート。
登山道を歩いてなくて、迷ってもおかしくないような場所を歩いたのに、ちゃんと最後はゴールに辿り着けたのが不思議で、地図読みってマジックみたいだと思いました。
地形図とコンパスのありがたみもわかりました。
地形図を見なければ、どこを歩けばいいのか全く分かりません。
コンパスがなければ進むべき方向を判断できません。
持ってなかったら道迷い。とても恐ろしいです。
▶︎たくさんのことを教わりました
今回の講習会で、三上ガイドから、等高線のルールや地形の把握の仕方、たくさんのコツを伝授していただきました。
そしてもう一つ、オリジナルルートの楽しさを教えてもらいました。
地形図を見て、道を考える。コンパスを頼りにゴールへ進む。
狙い通りに到着したときの達成感と嬉しさ。
私にとって初めての経験です。
もっともっと行ってみたいし、行けるようになりたいです。
今回、三角点から下山する時に急勾配の斜面を三上ガイドの指導でザイルで下降しました。
これも私にとって初めての経験でした。
ザイルのお陰で急勾配の怖い斜面も安心して降りることができました。
これからさらに山を楽しむためには、そういった技術も覚えていく必要があるとのことです。
今回の講習会は私にとって、本当に有意義な時間になりました。
地図読みスキルがアップしたのももちろんですが、私のこれからの山登りにきっかけを与えてくれた1日でした。
安全第一で、焦らず、いろんな山に行って経験を積みたいです。
そして技術を学んで、山に登る手段を増やしていきたいです。