八方尾根より丸山へ BC
日帰りで八方尾根の丸山まで。当初は唐松岳往復の予定だったが、時間切れと悪天候によりやむなく敗退。入山者はおらず、終始貸し切り。真っ白な雪にトレースをつけて進んでいくのは非常に楽しかった。
日 時 2020年2月26日 (水)
山 域 北アルプス 八方尾根
目 的 山スキー
コース 八方池山荘〜丸山
累積標高 (上り)607m・(下り)606m
人 数 2人
天 気 早朝はホワイトアウトだが、次第に晴れる。標高2361m付近までは視界があり、遠くの山々は見渡せないものの景色は良かった。晴れている区間は弱風。丸山までは、ホワイトアウト強風の悪天。
(気象庁 過去の天気図より)
朝7:00、八方池山荘を出発。
ガスが非常に濃く視界不良。本来は唐松岳往復の予定だったが、とりあえず行けるところまで行く事に。
先日の夜、降雪があり尾根上に刻まれていたトレースは全てリセットされていた。
今日は、元々あまり良くない天気予報だった為、山荘の宿泊者も他にはゼロ。
よって私たち2名の貸し切り山行だった。
ルートを外さないように、現在地を確認しながら慎重に歩いていく。
八方山付近は傾斜が緩く、広い。
普段は強風帯の八方山も今日は無風。
ガスが深く立ち込めていた。
うっかり大きく右回りしてしまい若干の時間ロス。
第二ケルンとトイレが見えてきて一安心。
高度を上げていくと、次第に雲は薄くなっていく。
八方池付近でガスから抜けた。目前には尾根が伸びている。無名沢が見える。
唐松岳や不帰までは見えなかった。
八方池を過ぎた辺りから、尾根は狭くなっていく。コンディションによってはシートラーゲンで進む予定にしていたが、そのままシールでハイクアップする事にした。
昨日の降雪のお陰で非常に歩きやすい。
まっさらな雪。
続く尾根に、トレースは一切無い。
遠くの展望は雲に覆われて見えないが、人影も1つも見えない。
今、尾根上を歩いているのはどうやら私達だけのようだ。
風も無い。非常に贅沢な尾根歩きだ。
丸山に向けて、西から伸びる尾根に乗る。
ここからは急登になる。
友人と、何処を歩くか相談しながら進む。
丸山手前の2361ピークは南側の沢を詰めて巻いた。
ここら辺から再びガスに巻かれる。
風も出てきて、雪がチラつき始めた。
とてもじゃないが、山頂を目指す天候ではないので、丸山ケルンをゴールとして引き返す事にした。
周囲は強風、吹雪いている。
おまけに視界もゼロ。
滑降準備を速やかに整え、11:00下山開始。
GPSでこまめに現在地を確認しながらゆっくりと降る。
私自身はスキー滑降技術は非常に未熟だ。
下山では終始、滑りの上手い友人に先行してもらった。
2361ピークの北側をトラバースして通過しようとしたら、足元からゴッソリ雪が滑り落ちた。
幅は3〜4m、深さ30センチ程。
私のスキーカットにより、面発生表層雪崩を誘発させてしまったようだ。
私の足元から真下数メートルにかけて、融解凍結したカリカリの斜面が残る。
つい昨日は気温が高く、湿雪が降った。
今日も気温が高く、スラブ自体もかなり重さがあったのだと思う。
自分自身が流されなくて良かった。
ジリジリと後退して、破断面から脱出する。
カニ歩きで、尾根まで高度を上げ、改めてトラバースした。
友人は、元々、斜度を考えて事前にカニ歩きで尾根近くをトラバースしていた。
私は横着して、そのままトラバースしようとして雪崩を誘発させてしまった。
危機意識が足りなかった。反省したい。
2361ピークより標高を下げた所で上部のガスから抜けた。
先程の表層雪崩に恐怖を感じて、なるべく尾根通しに滑降する。
尾根上はサンクラストしており、私は上手く滑れない。ボーゲンでクラストを壊しながら何とか降る。
友人にいわせると、無理やり曲がると転ぶから、板の動きに任せて滑るそう。
滑降技術の未熟さを痛感する。
その後は、無名沢の上部の斜度の緩い斜面を選びながら150m程高度を下げる。
私は緩やかなパウダー斜面で2回程転んだ。
途中でトラバースして八方池に向かって伸びる北東の尾根に合流する。
尾根上はほぼ平行なので、板が滑らない。
ぺたぺた歩きながら進んだ。
ここでも引き続き友人に先行してもらっていた。
私自身はトレースを追う形だったので、楽をさせて貰っていた為、少々申し訳無く感じた。
ここら辺から再び青空が広がった。
広大な尾根を目前に眺めて、雪山の雄大な景色に改めて感激する。
ふと南面を眺めたら、雪崩が発生している箇所が数カ所あった。
帰り際、ガラガラ沢に伸びる何本かのトレースを見かけた。八方池以降は結局誰も入らなかったようだ。
12:30無事に八方池山荘まで下山。
引き続きゲレンデを滑降する。リーゼングラードの下部より突然深い霧に覆われる。
リーゼンスラローム上部まで濃霧は続いた。
ゲレンデは視界不良な上に湿雪で非常に滑りにくかった。
今回のまとめ
今回は、初めて同性の友人と山スキーへ行った。(山スキーと言っても、丸山を往復しただけだが)朝一番で出発し、トレースをつけながら進む。友人と、何処を歩こうか相談したり、先頭を交代しながら進んだ。
目標としていた唐松岳までは到底届かなかったが、仲間と協力して行く山スキーは非常に達成感がありとても楽しかった。
山スキーは、非常に奥が深い。
今回はほぼ尾根の往復となったが、これから徐々に経験を重ねて、色々滑ったり、歩けるようになりたい。
そして、山スキーはやはり「滑降技術」がなくては話にならない。
友人は山スキーは今回で2回目になるが、スキー自体は経験が長い。実際に山の中での滑りも上手く、とてつもなく頼りになった。
私は山スキーは何度か行っているものの、ゲレンデもロクに滑れない下手っぴである。(かっこ悪く滑る事は出来るが、本当のポジションやテクニックで滑れない。コブが滑れない。)
山スキーへ行くのはいいが、滑りが出来なければ話にならない。今回、改めて強く感じた。
一刻も早く、自分自身が「頼れる仲間」となるためにも、スキーの練習を積んでいきたい。
登山における天気予報〜天気図を読む〜
登山を行う際、天気予報は調べるだろうか。
悪天候を避ける為にも、快晴の中展望を楽しむ為にも、天気予報を調べる事は重要である。
しかし、たまに想像とは違う天候に見舞われる事もある。
どうすればより正確な天気を知る事が出来るのか。
それは、有能な気象予報士になるしかない。
しかし、より正確な天気「予報」を知る事なら、特別な勉強をしなくても出来る。
今回はその備忘録である。
※あくまでも私見です。個人のひとつの考察に過ぎないので、参考程度に読んでください。(この記事は忘備録です…。)
今回はスマホアプリからの投稿の為、色々と融通が効かず、見辛い投稿となっています。
【実例】
以下の写真は、2019年12月23日(月)10時頃の鹿島槍ヶ岳・五竜岳・唐松岳方面の様子だ。八方尾根から撮影している。
事前にこの天気が分かっていた場合、果たして登りに行こうと感じるだろうか?
【天気とくらす】
無料で最も手軽な登山天気予報サイト「天気とくらす」では、どのような予報が出ているのか。
以下、前日の21時時点での予報だ。
↑天気とくらす 唐松岳の天気
https://tenkura.n-kishou.co.jp/tk/kanko/kad.html?code=20150048&type=15&ba=kk
日中はA判定。登山に適している天候とされている。
しかし、先程の写真で分かるように、実際の稜線はガスで覆われている。
正直なところ、A判定であれば、もう少し晴れ渡った青空を想像しないだろうか?
しかし、これはあくまでも「予報が外れた」という訳ではない。今回の天気は、「天気とくらす」の範囲外の要素が含まれていたのだ。
【天気とくらすで分かる天候とは】
「天気とくらす」とはどんな天気予報なのか。
以下は、「天気とくらす」における登山指数の説明である。
↑天気とくらす 登山指数について
・山頂付近と麓付近の天気は異なる可能性がある
・高度別の値(風速や気温)は、地形や日射により値が大きく異なる可能性がある
この2つに留意しておく必要がある。
説明の最後にも「十分ご注意ください」とある。
そして、登山指数について。
「風または雨が強く〜」という文章。
つまり「天気とくらす」は、「雨・雪」の程度、「風」の程度によって登山指数の判定を行なっている事になる。
そして「雨・雪」は、おそらく麓の天気予報を利用している。
以下は、12月23日の白馬村の天気である。
https://tenki.jp/forecast/3/23/4810/20485/
https://weather.yahoo.co.jp/weather/jp/20/4810/20485.html
日中は曇り、18時頃から次第に降雪予報となっている。
Yahoo!では21時は雪予報だ。
この時点で「天気とくらす」でも、夜の予報が「C」となる確率が高くなる。
標高別の気温や風速は、気象庁の数値計算結果を参考にしているとある。
気象庁のどの情報なのかは分からなかったが、この計算結果自体は「天気とくらす」以外でも調べる事が出来る。
https://tenki.jp/mountain/normal/3/23/1605.html
登山において、「強風」と感じるのは風速15m/s辺りからではないだろうか。
標高3,000m時点は15m/sである。
確かに強風であるが、標高3,000mというと、ほぼ山頂の高さだ。
歩く事を考えると、標高2,000mを参考にした方が良いだろう。こちらは7.4m/sだ。
それなりに風は吹いているが、許容範囲だろう。
以上2点で、「天気とくらす」は登山指数を判断している。
今回は、天気にしても、風速にしても、日中は特に酷い訳ではないので「A」判定となったのだろう。
【悪天の要因】
今回、唐松岳において、天候の優れない要因となったのは「気圧の谷」である。
これは、麓の天気予報と、風速を調べるだけでは判断する事が出来ない。
自らの目で天気図を確認しなければ分からない事である。
「天気とくらす」は、とても便利なサイトである。無料で山の天気予報を閲覧出来るとは、ありがたい事だ。
しかし、当サイトでも言っている通り、情報の利用には十分注意する必要がある。
無料で提供出来る情報には、やはり限界があるのだ。
情報が不足している部分は、自分で補完しなければいけない。
【チャンスを逃す事も】
余談であるが、「天気とくらす」では、どれだけ「晴れ」ていても酷い強風であれば、予報は「C」となる。
あくまでも判定基準は「風または雨が強く〜」だからだ。
2019年1月19日の乗鞍岳。快晴だが、稜線は爆風だった。「天気とくらす」は1日中C判定だったのを覚えている。
爆風が許容出来るかどうかは本人次第である。
位ヶ原までの樹林帯は風の影響無し。C判定でも、場所を考えれば充分楽しめる。
【ヤマテン】
次は、ヤマテンの天気予報を確認してみる。
この予報は有料となるが、自動計算による予報ではなく、気象予報士自らの経験と知識によって発表された予報文を読む事が出来る。
勿論、天気図も読んだ上での発表である。
合わせて、高層天気図を閲覧する事も可能だ。
こちらはヤマテン独自のもので、見易く工夫されている。
(ヤマテンの画像については、今回ブログに掲載するにあたり許可を貰っています。)
唐松岳の予報は無いので、白馬岳の予報を参考にしている。
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↑ヤマテン 白馬岳の天気
https://i.yamatenki.co.jp/smartphone/
23日は「気圧の谷」が接近する。と表記されている。
以下はヤマテンの予想天気図である。
ヤマテンでの予報文を、この天気図を利用して確かめてみる。
まず、文章では「日本海側に気圧の谷が〜」とある。
ここでいう「気圧の谷」とは、低気圧が高気圧側に細長く張り出している部分の事を言う。
(「気圧の谷」と呼ばれるものは、2通りある。まずは地上天気図上において、低気圧から高気圧側に張り出している部分の事や高気圧と高気圧の間の、鞍部のようになっている部分の事。もう一つは高層天気図において偏西風の風速差によって発生してしまう気圧が低い部分の事。こちらに関しては、小難しい上に長くなるので割愛。気になる方は次リンクより。分かりやすく説明されている。→https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12154698712 )
このヤマテンの天気図では、太平洋側に低気圧がある。(等圧線が円形になっていて雨雲を纏っている。)
その低気圧から日本海側に向かって等圧線が張り出しているのが分かるだろうか。
この歪曲部が、「気圧の谷」である。
その影響で日本海上に雨雲が発達している。(あくまでも予報の雨雲だが。)
「唐松岳」も、この「気圧の谷」に近い場所にあるので、悪天の影響を受ける可能性が大いにあるという事だ。
【因みに】
等圧線の混み具合を見る事で風速が分かる。今回は特に気にするほどでも無い。
参考までに、令和元年台風19号ハギビスの予想天気図を載せておく。
【気象庁】
次は気象庁の「数値予報天気図」を調べていく。
https://www.jma.go.jp/jp/metcht/suuchi
気象庁の天気図の中で
「極東地上気圧・風・降水量/500hPa高度・渦度予想図」
を参考にしていく。
↑気象庁 数値予報天気図
https://www.jma.go.jp/jp/metcht/suuchi.html
二段目は、「極東地上気圧」だ。いわゆる地上天気図の極東バージョンといえる。
これは日本における12月23日9:00時点の予報である。
(この天気図自体は、世界共通の時間で2019年12月21日12:00時点の測定結果である。予報しているのは36時間後(23日00:00時点)だ。日本の時間に直す為に9時間足す必要がある。)
日本海付近に注目すると、顕著な「気圧の谷」があるのが分かる。
また、もう一つ気象庁の「予報天気図」。こちらでも、同じように確認する事が出来る。
↑気象庁 予報天気図
【まとめ】
もし、ここまで調べて「悪天である」事が予測出来たとしたら登りに行こうと思うだろうか?
この「悪天」は、ただ天気予報を調べるだけでは、分からないものである。
そのため、天気図を読むという事が非常に大切になってくる。
より正確な天気予報を知りたいならば、活用するべきだ。
特に雪山登山においての天気は、命に関わるものだ。
天気図を読めば、そのリスクの程度を理解する事が出来る
南岸低気圧であれば高確率で雪崩が発生する。
500hpaの高層天気図において-36°以下の寒気が降りていれば大雪である。
一括りに暴風雪といっても、どれくらいの程度なのか。本当に酷いのか、まぁ耐えられるレベルのものなのか。
弱い冬型であれば、雪山は絶好のチャンスである。
夏であれば、高層相当温位というのを調べればゲリラ豪雨の危険性もある程度予測できる。
そして、何より天気図を見ると「事の重大さ」を実感出来る。
台風や南岸低気圧、冬将軍にしても、ニュースで報道される。
しかし、その規模はどれくらいなのか?
今年1番とはどれくらいなのか?
それは天気図で、自分の目で調べれば一目瞭然である。
日常生活においても、公共交通機関にどれほど影響が出るのか予想出来る。
天気図は難しいイメージが先行しがちだが、素人にも読める簡単な部分もある。
登山においては、その「簡単な部分」が分かるだけでもかなり有利だと思う。
正しく天気予報を理解し、安全登山に活かす。そして、貴重な登山のチャンスを余す事なく掴みたいものだ。
【ヤマテンのすすめ】
もし、自力で天気図を調べるのが大変と感じるのであれば、やはりヤマテンがオススメだ。
何も分からなければ、まずは気象予報士の予報文を読む。余裕があれば高層天気図を読んでみると良い。
私も、最初の頃は、天気図を読むのは難しいイメージがあり食わず嫌いをしていた。
しかし実際読んでみると意外と分かる。(勿論、本当に初心者レベルの知識だ。)
ヤマテンを初めてからは、少しずつ天気に対する苦手意識も克服してきている。
※年末年始やGWなどは、ヤマテンの予報を無料配信している事がある。ぜひ活用してみると良い。
↓日本山岳会にて配信している
https://jac1.or.jp/event-list/201706162043.html
↑晴れた日の雪山は本当に素晴らしい。
滑落と救助(単独の場合)
あたりまえの事だけど、備忘録としてメモ。
山中で滑落遭難があった場合、最悪の状況に至るまでには2つのパターンに分けられる。
①発生→衰弱→死亡
②発生→即死
滑落により「死亡」する直接的な原因は全身打撲といった外傷によるダメージ。
滑落した時点で、運が悪ければ即死だが、運が良ければ、まだ生きているかもしれない。
もし、滑落してしまった場合、単独遭難者はどのような流れで発見・救助されるのか。
①「家に帰らない」と家族から通報がある
②たまたま他の登山者に遭難の現場を目撃される
③自力で救助要請
①家族から通報がある
もちろん、これは家族に行き先を伝えている事が大前提である。
このような連絡を怠ると、全てが謎に包まれるので、山域も分からず捜索が1ヶ月以上などの長期に渡る可能性が極めて高くなる。(登山届けの大切さが良く分かる。)この場合は山岳保険に加入していたとしても補填金額の上限は簡単にオーバーしてしまう。
②他の登山者が通報してくれる
完全に「運」だ。
たまたま他の登山者が遭難の瞬間を見て通報してくれたら、幸運だと思って良い。
③自力で救助要請
ひとまず挙げたが、実際のところ、自力で救助要請した例を今のところ私は知らない。
あくまで推測だが、衰弱している状況では自力で救助を求める事は難しい。気を失っていれば尚更だ。
転落・滑落すると、基本的に谷底に向かって落ちていく。稜線付近で電波をキャッチ出来れば良いが、最悪の場合は電波も届かないだろう。
もし自分が単独行である場合、救助は①の方法に頼る事を理解しておく必要がある。
実際のところ、このケースは多い。
しかし、たとえ家族が通報してくれたとしても、「遭難発生」から「救助」までには、必ず、数日程は空いてしまうのが現実だ。
グループ登山では、必ず目撃者がいる。
誰か一人でも命の危機に直面すればメンバーが救助要請を行い、早くてもその日のうちに救助する事が可能なのだ。
外傷によるダメージを受けている場合は、スピードが大切な事は分かるだろう。
本人が衰弱している状況の中でその数日の差はかなり影響があるのではないだろうか。
単独行をする場合は、もしもの時のリスクが極めて高いのだ。
単独で山に入る場合はそういったリスクを理解する必要がある。
転落・滑落が多発している山は控えるべきだ。
また、絶対に「油断」しないこと。
スリップしないかを慎重に見極めながら歩く。
そして「道迷い」に充分気を付けること。
不安になったら引き返す事は大切だ。
私自身も単独で歩いていた時に、一度滑落した事がある。運良く大事にならずに済んだが、原因は道迷い(ルートミス)だ。
その時は「油断」していたし、考えが浅はかだった。
通行止めになっているコース上での出来事であり、完全に自業自得だ。
叱られて当然の事をしてしまった。
二度と同じ過ちを犯さないように気を付けたい。
山岳遭難について思うこと。
私は、この夏から北アルプスの山小屋で働いている。
山小屋の従業員になってから、遭難事故の連絡は何度か小屋に入ってきた。私自身はあまり動く事はないが、連絡が入るたびに小屋のオーナーや常駐の山岳警備隊の方が忙しく対応している。
遭難の内容は、転倒による怪我が殆どであるが、つい最近は悪天の中入山したパーティーの1人が増水した沢の渡渉で失敗し溺れる事案が発生した。
遭難者は命に別状は無かったから良かったのだか、私自身は、「どうしてこんな日に入るのか?」「増水した沢を見て引き返す判断は無かったのか?」と、そのパーティーのリーダーを心の中で攻めずにはいられなかった。
そんな中、つい一昨日、残念な事に死亡遭難事故が発生してしまった。
現場は、小屋まであと1時間というところだった。 一般的に「危険」と言われている箇所は既に突破した後で、普通の登山道を歩いている時の出来事だった。
誤って谷側に転落してしまい、その後同行者の通報、ヘリにて救助されたものの亡くなってしまった。
話を聞く限り、「どうしてこの人が」と思わずにはいられない遭難事故だった。
この遭難者の方は悪天の度に何度も小屋に連絡を入れ、宿泊予約を変更し、やっと訪れた好天、憧れのコースをいよいよ歩きにきた方だった。
それを思うと本当にやりきれない気持ちである。
山に入る人は、千差万別だ。
いかにも軽装で「山を舐めてるのか!」というような人も居る。
逆に、装備も考え方もしっかりしていて「この人なら大丈夫」と思える人だって居る。
しかし、どんなにしっかりしていても山岳遭難は起こってしまう、ということを深く感じさせられた。
もしかしたら、山には本当に、谷底から足を引っ張ろうとする者が居るかもしれない。
「自分は大丈夫」という事はないのだ。
いつも一緒に登っていた山仲間が突然、亡くなるかもしれない。
もしかしたら自分自身が、居なくなるかもしれない…。
山岳遭難に遭わない為に大切な事は何だろうか。
まずは、予測出来るリスクは最大限に把握・回避することは必要不可欠。
装備不足、判断不足、経験不足で遭難してしまうのはあってはならない事だ。
それでもなお、遭難に巻き込まれるリスクというのは、ゼロにはならない。
そうすると、後は、一瞬たりとも「油断」しない事ではないか。
登山はやはり、常に死が間近にある。
いつ、どこで、誰が遭難するか分からない。
ただ一つ言えるのは、他人事では絶対にないという事。
その事を覚悟して、私自身も山に登りたい。
客観的な遭難を見ていると、ここ最近は65歳以上の登山者の遭難が目立っているように感じる。
高齢者の遭難は大事に至ってしまう可能性がやはり高い。年齢を重ねるごとにどうしても身体の丈夫さは衰えてしまう。
本当に、無理はせず、慎重に慎重を重ねた登山を心掛けて欲しい。
2019/10/21追記
本記事を投稿してから、また新たに死亡遭難事故が4件発生した。わずか10日間の出来事である。
上に「高齢者」が多いと記したが、若い方も亡くなられた。また単独の遭難が比率としては多いが、グループ登山の遭難(メンバーの1人が転落してしまう等)もゼロではなかった。
どんな状況の中でも、1人1人が油断せず、命を守るための行動を心掛けて欲しい。
fine track 補修キット使ってみた 修理依頼 ファイントラック
finetrackという国内のアウトドアメーカーはご存知だろうか。
私が知ったのは約3年程前・・・。東京の高田馬場にあるカモシカスポーツ本店でこのブランドを知った。初めて購入したのは雪山用のジャケットだった。
fine trackは、値段が少し高めなものの、なかなか実用的で使いやすい装備が揃っている。数々の山行の中でそれを実感した私は、以降、しっかりした装備を購入したいときは、fine track装備を購入するようになった。
しかし、昨年の秋、そんな本気装備の1つであるズボンに大穴を開けてしまった。
今回はその大穴を塞いだ記録である。
(最後に、私の愛用するfine track装備の紹介も少しだけさせて頂きます。)
続きを読むGW 北ア随一の展望地 蝶ヶ岳から穂高連峰を望む
GWの前半に、2泊3日で北アルプスの蝶ヶ岳に登ってきた。
積雪期に登るのは、今回で2度目だ。気持ちとしては気楽なものだが、今回油断ならなかったのは、初日が西高東低の冬型気圧配置だった事だ。春先なのに真冬のように寒かった。翌日も気温が低いままだったが、高曇りしているものの、晴れ。穂高の素晴らしい展望を望むことができた。
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